5月27日展示 高出力・易解体の次世代ローター
ベストカレンダー編集部
2026年5月14日 08:03
人とくるまのテクノロジー展
開催期間:5月27日〜5月29日
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電動車の要求に応える「かたち」と「解体性」を両立したローターの共同開発
大同特殊鋼株式会社(本社:名古屋市、代表取締役社長:清水哲也)は、重希土類フリーの熱間加工磁石の特長を活かし、日本発条株式会社(ニッパツ、本社:横浜市、代表取締役社長:上村和久)と共同で、電動車の駆動用モーター向けに高出力化とリサイクル性向上を目的とした次世代ローターを開発したと、2026年5月13日付で発表しました。
本開発は、熱間加工磁石(ネットシェイプ磁石)ならではの形状自由度と磁化方向制御の自由度を活用し、磁石を使用形状に近い状態で成形できる独自技術を組み合わせることで、従来の焼結磁石主体の設計では難しかったローター設計上の制約を解消する点に特徴があります。プロモーションは2026年5月頃に開始し、早期の実用化を目指す計画とされています。
共同開発の背景と目的
世界的なモビリティの電動化に伴い、駆動用モーターには「高出力化による小型化」と「使用後のリサイクル性向上」という二つの重要な要求が同時に高まっています。本共同開発では、以下の課題を解決することを目的としています。
- SPMローターにおける材料ロスと形状加工の効率化
- IPMローターの磁石固定方式を見直し、リサイクル時の工程とCO2排出を低減
- 焼結磁石では実現困難な製造プロセスの自由度を活かした、新たな磁気回路の実現
共同開発では、ニッパツの構造設計や補強技術(CFRP:炭素繊維強化樹脂)と当社の熱間加工磁石技術を組み合わせることで、設計の柔軟性と生産性の両立を図っています。
高出力・高回転を実現するSPMローターの技術ポイント
SPM(Surface Permanent Magnet)ローター向けに開発された「高出力・高回転SPMローター」は、従来のブロック状磁石を機械加工して円弧にする手法による材料ロスを削減できる点が大きな技術的恩恵です。当社が提案した重希土類フリーの熱間加工磁石は、形状および磁化方向の制御自由度が高く、使用形状に近い状態で成形可能です(図3参照)。
さらに、ニッパツが持つCFRP補強技術と組み合わせることで、ローターの高回転化に耐える構造を実現しています。これにより同等の体積でより高い出力を引き出せるため、駆動系の小型化とエネルギー効率の向上につながるとされています。
技術の詳細と利点
本開発におけるSPMローターの主な技術ポイントは次の通りです。
- ネットシェイプ成形:熱間加工磁石を使用形状に近い状態で成形することで材料ロスを削減。
- 磁化方向の多様化:焼結磁石で実現しにくい磁気配向バリエーションが可能で、磁気回路設計の自由度が向上。
- CFRP補強との併用:高回転領域での機械的信頼性を確保しつつ、軽量化と高出力化を両立。
図1はSPMローターのカットモデル(画像提供:ニッパツ)であり、図3は本開発で用いた熱間加工磁石のネットシェイプ例を示しています。これらの組み合わせにより、設置スペース制約やコスト低減ニーズに対応する小型高出力モーターの実現が期待されます。
易解体IPMローター:板ばね固定と溝付与によるリサイクル性改善
IPM(Interior Permanent Magnet)ローターでは、一般に磁石をスロット内に樹脂で固定する方式が採用されていますが、リサイクル時に樹脂を除去する加熱工程が必要であり、そこで多くのCO2が発生することが課題となっていました。本共同開発では、この環境負荷を低減するため、磁石を板ばねの力で固定する新構造をニッパツが提案しました。
ただし、板ばね取り付けに必要な溝加工を磁石後加工で行うと材料ロスが発生します。これに対し、当社は熱間加工磁石の異方化工程(磁化方向を揃える工程)において、熱間成形プロセス中に溝形状を付与する独自技術を組み込みました。これにより、工程変更を最小限に抑えつつ、溝付き磁石を効率的に製造でき、材料ロスを大幅に低減しています。
構造と期待される効果
IPMローター向けの新構造では、以下の点がポイントです。
- 板ばね固定により、磁石を容易に取り出せるため、リサイクル時に加熱工程を削減し、結果としてCO2排出の低減に寄与する。
- 熱間成形段階で溝を付与することで、後加工による材料ロスを抑制し、生産効率を維持する。
- この技術の確立により、電動車の駆動用モーター全体の環境負荷低減が期待される。
図6、図7はIPMローターの磁石固定構造と、板ばねを組み付けた熱間加工磁石の写真(いずれも画像提供:ニッパツ)を示しています。これらのビジュアル資料は、従来工程との違いを理解するうえで有用です。
関連図表と用語解説
本開発に関連する図版は以下の通り発表資料に記載されています。図の提供はいずれもニッパツによるものです。
- 図1:SPMローター(カットモデル)
- 図2:ばね固定IPMローター
- 図3:熱間加工磁石(ネットシェイプ磁石)
- 図4:熱間加工磁石(溝加工付与磁石)
- 図5:熱間加工磁石の特長
- 図6:IPMローターの磁石固定構造
- 図7:板ばねを組み付けた熱間加工磁石
- *1 電動車
- 本プレスリリースでは、バッテリー電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等を指します。
- *2 SPMローター
- ローター(モーター内の回転部分)の表面に磁石を貼り付けるタイプの部品を指します。
- *3 IPMローター
- ローターの内部に磁石を埋め込むタイプの部品を指します。
- *4 異方化
- 磁石のN極‑S極の向きをそろえる工程を指します。
展示情報と今後のスケジュール、問い合わせ先
本開発品は初出展として、ニッパツのブース内で以下の展示会にて紹介されます。展示は製品の実機モデルやカットモデル、磁石の成形例等を含む予定です。
展示会の開催情報は次のとおりです。両会場とも開場時間は10:00〜17:00です。
- 展示会名:人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA
- 会期:2026年5月27日(水)~5月29日(金)
- 会場:パシフィコ横浜 展示ホール・ノース
- ブース:ニッパツ(日本発条)ブース内 小間番号:402
- 展示会名:人とくるまのテクノロジー展2026 NAGOYA
- 会期:2026年6月17日(水)~6月19日(金)
- 会場:Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
- ブース:ニッパツ(日本発条)ブース内 小間番号:222
本共同開発のプロモーション開始は2026年5月頃を予定しており、早期の実用化を目標としています。技術や製品に関する問い合わせは以下の窓口へ連絡するよう案内されています。
- 問い合わせ先
- 大同特殊鋼株式会社 経営企画部コーポレートコミュニケーション室 TEL. 052-963-7503
開発概要の整理
ここまでの記事で触れたポイントを表形式で整理します。主要な開発要素、目的、展示情報、企業情報をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年5月13日 15:00(大同特殊鋼 発表) |
| 開発主体 | 大同特殊鋼株式会社(本社:名古屋市、代表:清水哲也)と日本発条株式会社(ニッパツ、本社:横浜市、代表:上村和久) |
| 開発目的 | 電動車向け駆動用モーターの高出力化(小型化)とリサイクル性の向上(環境負荷低減) |
| 主な技術要素 | 重希土類フリー熱間加工磁石(ネットシェイプ・溝付与)/磁化方向制御/熱間成形での溝付与技術/CFRP補強/板ばねによる磁石固定構造 |
| 開発品1 | 高出力・高回転SPMローター(材料ロス低減、CFRP補強で高回転化) |
| 開発品2 | 易解体IPMローター(板ばね固定+熱間形成での溝付与によりリサイクル性向上) |
| 展示会 | 人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA(2026/5/27-29、パシフィコ横浜、ニッパツ小間402) 人とくるまのテクノロジー展2026 NAGOYA(2026/6/17-19、Aichi Sky Expo、ニッパツ小間222) |
| プロモーション開始 | 2026年5月頃より開始予定 |
| 問い合わせ | 大同特殊鋼株式会社 経営企画部コーポレートコミュニケーション室 TEL. 052-963-7503 |
以上のとおり、今回の共同開発は素材(熱間加工磁石)と機構(板ばね固定やCFRP補強)を組み合わせることで、電動車用モーターの設計自由度を高めつつ、使用時の性能向上と廃棄・リサイクル時の環境負荷低減を同時に追求するものです。展示会では実機やモデルを通じて、これらの点が確認できる予定です。