ふみの日 (記念日 毎月23日)

ふみの日
制定年
1979年(日本郵政省)
取り組み開始
1975年度(各地方別キャンペーンとして)
日付の由来
「ふ(2)み(3)」の語呂合わせ
ふみの日切手デザイナー
永田萠、村上勉
キャンペーンソング
岩崎宏美(1980年6月)、松本典子(1988年10月)

「手紙の楽しさ、手紙を受け取るうれしさを通じて文字文化を継承する」——この言葉を合言葉に、日本郵政省が取り組みを始めたのは1975年度のことでした。当初は各地方が個別にキャンペーンを展開していましたが、1979年には全国規模の運動へと発展し、毎月23日を「ふみの日」として正式に定めました。日付の「23」が「ふ(2)み(3)」と読めることから生まれたこの記念日は、言葉遊びに見えて、実は手書きの文字が急速に失われていく時代への切実な応答でした。

とりわけ象徴的なのが、毎年7月23日に催される「文月ふみの日」のキャンペーンです。旧暦7月を「文月(ふみづき)」と呼ぶ日本の語感と23日の語呂合わせが重なるこの日は、一年でもっとも「ふみ」の気配が漂う特別な日として位置づけられています。その象徴として毎年発行される「ふみの日切手」は、絵本作家・永田萠や村上勉といった著名なイラストレーターたちが手がけてきた愛らしいシリーズです。1979年の制定以来、変形切手やシール式へと形を変えながら進化を続け、小さな芸術品として切手収集家や手紙ファンの心を掴み続けています。

キャンペーンは切手だけにとどまりませんでした。1980年6月には岩崎宏美が、1988年10月には松本典子が、それぞれふみの日のキャンペーンソングを発表しています。人気アイドルを起用することで若い世代に手紙を書く習慣を届けようとした試みは、手紙文化とポップカルチャーが交差した時代の一コマでもありました。

電子メールやSNSが普及した現代、郵便物の数は往時から大きく様変わりしています。それでもふみの日が毎月23日に巡ってくるたびに、手書きの一言がもつ固有の重みを思い起こすことには意味があります。文字を選び、便箋を広げ、封をして送り出すまでの時間——その一連の所作が相手への思いを形にする過程だとすれば、手紙はまだ、現代人の手の中にある最も誠実なコミュニケーション手段のひとつと言えるかもしれません。