カニカマの日 (記念日 毎月22日)

カニカマの日
世界初発売年
1972年(珍味かまぼこ・かにあし)
制定企業
株式会社スギヨ(石川県七尾市)
記念日認定
2017年 日本記念日協会
世界生産量
約50万トン(2021年)
フランスの消費量
年間約5万トン(日本と同水準)

本物のカニではないのに、「インチキじゃないか」という苦情が殺到した食品があります。それがカニカマ、正式には「かに風味かまぼこ」です。石川県七尾市の株式会社スギヨが1972年に「珍味かまぼこ・かにあし」の商品名で世界初のカニカマを発売したとき、消費者の反応は批判と困惑が入り交じったものでした。それが今では、世界の年間生産量が約50万トンにのぼる食品に成長しています。

カニカマ誕生の背景には意外な“失敗”があります。1960年代後半、中国との国交悪化でクラゲの輸入がストップし、スギヨはアルギン酸を使った人工クラゲの開発に取り組んでいました。ところが研究が行き詰まったある日、できあがった素材をほぐして食べてみると、その食感がカニの身にそっくり。3代目社長の杉野芳人氏が「かまぼこを素材にすれば調味付けもできる」と方向転換を決め、カニ風味かまぼこの開発がここからスタートしました。着色・着香した魚肉すり身を細く裁断してカニの脚に見立てる独自の製法を確立するまでに、素材選びから製造工程、味付けまで幾度もの試作が重ねられました。

発売後は「カニでないのにカニを名乗るのはおかしい」という声も続きましたが、スギヨは「カニのようでカニでない」というコピーで堂々と宣伝。価格の手ごろさと扱いやすさが受け、やがて日本の食卓に定着しました。現在は海外でも大量に製造・消費されており、フランスでは年間約5万トンと日本と肩を並べる消費量を誇ります。現地では「シュリミ(surimi)」と呼ばれ、サラダや寿司の具材として日常的に親しまれています。

カニカマの日を制定したのは、生みの親であるスギヨです。かにのハサミの形が漢字の「ニ」の字に似て見えることから「ニニ=22」の語呂合わせで日付を設定しましたが、6月22日にはすでに「かにの日」があるため、別の月の22日に定めています。2017年に日本記念日協会の認定を受けました。

人工クラゲを作ろうとした失敗作から生まれ、「インチキ」と言われながらも50年以上で世界の食卓に根付いた食品は、そうはありません。サラダにも巻き寿司にも茶碗蒸しにも使える手軽さは、半世紀前の七尾市での試行錯誤から始まっています。